心臓の元気度が血液検査でわかる?「BNP (ビーエヌピー)」について解説
こんにちは、広島市中区袋町の本通水田内科クリニック院長の水田 隆誠です。
血液検査で心臓の元気度がわかる指標があるのをご存知でしょうか?
今回は心臓の元気度を表すバイオマーカー『BNP (ビーエヌピー)』について解説しました。
BNPは、心不全を診断するうえでとても有用な指標となります。
心不全は日本人の死因第2位である心疾患の代表的な原因です。
最近では上皇后陛下美智子様が心不全と診断されたことで耳にされた方も多いと思います。
心不全は様々な原因で発症する、心臓が弱った状態を指す総称です。
心不全は一度発症してしまうと、二度と元の元気な心臓には戻りません。
つまり、心不全は早期発見・早期治療および予防が大切です。
当院では心疾患の検査全般および飲み薬による治療を行っています。
高度な専門的治療が必要な方は速やかに総合病院に紹介する体制をとっています。
予約不要で受診できますので、心不全・心臓病が心配な方はお気軽にご相談ください。
目次
BNP (ビーエヌピー) とは?
心臓が弱ると、十分な血液を全身に送り出すことができなくなります。すると、血液の交通渋滞が起こり、心臓 (左心室)の手前に位置する肺がむくみ、息切れがみられるようになります。
そして、心臓自体も大きくなっていきます。
このとき、心臓の壁が引き伸ばされるストレスに応じて分泌される物質が『BNP (ビーエヌピー)』です。
BNPには「血圧を下げ、尿量を増やす」ことで、心臓の負担を減らす効果があります。
そのため、心臓に負担がかかっているほどBNPも多く分泌されることになります。
すなわち、BNPの数値を血液検査で調べることで、心臓にどれくらい負担がかかっているかを推測することができます。
BNPが高くなる原因
では、BNPはどのような原因で高くなるのでしょうか。
「BNPが高くなる=心臓に負担がかかる」原因には、心不全、高血圧、心臓弁膜症や心房細動などの不整脈といった循環器疾患、慢性腎臓病、貧血、甲状腺機能亢進症、糖尿病などの内分泌代謝疾患、感染症などの急性炎症といった様々な疾患があります。
BNPが高くなっている場合は、その原因を突き止め、適切な治療を行う必要があります。
BNPがいくら以上になったら精密検査が必要?
BNPと同じく心筋から分泌されるNT-proBNPという物質があります。
NT-proBNPはBNPと同じく心臓に負担がかかったときに分泌されますが、BNPと異なり体内で何の作用もしない、いわばBNPの副産物です。
NT-proBNPの方がより安定した物質であるため、検査精度の点から当院ではNT-proBNPを採用しています。
心不全診断におけるBNP・NT-proBNPのカットオフ値 (日本心臓財団HPより引用)
NT-proBNP≧400 pg/ml (≒BNP≧100 pg/ml) では、心不全の可能性があるため精密検査が推奨されます。
BNPを増やす薬・新薬サクビトリル・バルサルタン (エンレスト®) について
エンレストの作用機序 (ノバルティスHPより引用)
ここ数年で使用可能になった比較的新しい薬剤であるサクビトリル・バルサルタン (エンレスト®) は、体内でBNPを分解するネプリライシンという物質の働きをブロックすることで、体内のBNPを増やす作用があります。
BNPは心臓の負担を減らす物質ですので、サクビトリル・バルサルタン (エンレスト®) は心臓の負担を減らしてくれる薬と言えます。
実際、従来の降圧薬と比較して心不全の予後を良くすることが示されています。
当院では、自覚症状やBNP値を参考にし、必要な患者さんにサクビトリル・バルサルタン (エンレスト®) による治療を行っています。
BNPが高いときは何科を受診すればいい?
心不全の診断・治療は循環器内科に受診することをおすすめします。
一般の内科や外科では、心臓の精密検査を行っていないこともあるため注意が必要です。
本通水田内科クリニックでは循環器内科の診療を行っております。「しっかり調べてほしい」という方から「ちょっと気になる」という方まで、どなたもお気軽にご相談ください。
予約不要で受診できます。
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