胃がんを早期発見するために大切なこと・胃カメラとバリウムのどちらがいい?
こんにちは、広島市中区の本通水田内科クリニック院長の水田 隆誠です。
胃がんを早期発見するための方法について解説しました。
胃がんは日本人のがんによる死因第3位です*。
一方、胃がんを早期発見できれば10年生存率は95.1%と非常に高いことが報告されています**。
人間ドックでバリウム検査と胃カメラのどちらを選ぶか迷っている方をはじめ、50歳以上で胃がん検診を受けようかと考えている方や、ピロリ菌感染を指摘された方、家族で胃がんを患った方がいる方にとってこの記事が少しでも役立つ情報となれば幸いです。
*2022年現在
**ステージⅠの場合/2016年発表 (国立がん研究センターHPより)
目次
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胃がんを疑う症状
胃がんを疑う症状として、次のようなものがあります。
●胃の痛み・みぞおちの痛み
●胃もたれ
●胃の不快感
●胸やけ
●食欲不振・体重減少
●食べ物が飲み込みづらい・のどのつかえ感
●黒色便
●ピロリ菌に感染したことがある (除菌治療を受け終わった方も含む)
上記の症状がある方は、決して「症状が軽いから平気だろう」と考えずに、早めに医療機関を受診しましょう。
ピロリ菌は胃がんを始め胃潰瘍やリンパ腫など様々な胃疾患の原因となり、除菌治療を行うことが重要です。しかし、除菌した後も胃がんの発症リスクは未感染の人と比較して高いことが知られています。胃がんを早期発見するためには、除菌治療後も1年に1回は定期的に胃カメラを受けることが大切です。
早めの受診・早めの検査が胃がんの早期発見に繋がります。
一方で、上記に挙げたこれらの症状は胃がんが進行しないと見られません。
胃の粘膜表層には痛みを感じる神経がないため、早期の胃がんでは症状はほとんどありません。
胃がんを早期発見するためには、症状がなくても胃の検査を受けることが大切です。
胃がん検診で行われる2つの検査
胃がんを早期発見するために行われる「胃がん検診」では、バリウム検査と胃カメラの2種類の検査があります。
バリウム検査は、炭酸の発泡剤と造影剤であるバリウムを飲み、レントゲン撮影で胃の輪郭を映し出す検査で、いわば「胃の影絵」です。
胃カメラは、内視鏡とよばれる細いカメラを口あるいは鼻から挿入して胃の粘膜を「直接」観察する検査です。
初期の胃がんは粘膜の微細な変化しか見られません。
そのため、胃がんを早期発見するためには胃カメラにより胃の粘膜を直接観察することが必要です。
一方、バリウムの長所として、胃カメラよりも楽というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
確かに、昔の内視鏡は親指ほどの太さがあり、口から挿入していたため、「オエッ」となりやすく苦痛の強い検査でした。
左:当院で採用している経鼻内視鏡 右:一般的な経口内視鏡
しかし、内視鏡機器の進歩により、近年は鉛筆よりも細い内視鏡を鼻から挿入するため、オエッとなりにくく苦痛も少なくなっています。
さらに麻酔薬・鎮痛薬を使用することで、より苦痛の少ない検査を行うことができます。
|
バリウム検査 |
胃カメラ |
---|---|---|
苦痛の強さ | 胃カメラより楽? | オエッとなりしんどい?→経鼻内視鏡なら苦痛は少ない |
早期胃がんの見つけやすさ | 表面の凹凸の少ない早期胃がんを発見するのは難しい | 胃の粘膜を直接見るため早期胃がんを発見しやすい |
検査で異常が見つかった場合の対応 | 異常が見つかったら、胃の組織を取って検査するために胃カメラ検査を後日追加で受けなければならない | 胃に病変が見つかったら、そのまま組織を取って調べることができるため、検査が一度で済む |
「胃カメラを受けたい」場合は何科を受診すればいい?
通常の内科クリニックでは内視鏡検査を実施していないこともあるため、消化器内科を受診することが必要です。
本通水田内科クリニックでは、鉛筆よりも細い内視鏡による鼻からの胃カメラ検査、さらに希望者には麻酔薬・鎮痛薬を使用した苦痛の少ない胃カメラ検査を行っております。
「しっかり調べてほしい」という方はもちろん、「ちょっと気になる」という方まで、どなたもお気軽にご相談ください。
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