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血圧の測り方・家庭用血圧計の選び方について解説

こんにちは、本通水田内科クリニック院長の水田 隆誠です。

自宅での血圧の測り方と家庭用血圧計の選び方について解説しました。

高血圧の治療が適切かどうかを判断するには、診察室血圧よりも家庭血圧の方が重要とされます。

家庭血圧の正しい測り方を知ることで、より良い治療を受けることに繋がります。

読んでくださった方にとってこの記事が少しでも役立つ情報となれば幸いです。

目次

家庭血圧がなぜ重要か

病院では毎回診察のたびに血圧を測定することと思います。

ではなぜ家庭でも血圧を測る必要があるのでしょうか。

実は家庭血圧は、診察室での血圧よりも心臓病や脳卒中など高血圧に由来する病気のリスクを反映することが知られています。

例として白衣高血圧があります。これは緊張などで病院では血圧が高くなるけれど、病院を一歩外に出れば正常血圧になる人のことをいいます。この場合、真の高血圧と比べて病気のリスクは低いと言われています。ただし将来真の高血圧に移行する可能性はあるため定期的な受診をおすすめします。

反対に仮面高血圧という状態もあります。これは診察室では正常血圧であっても診察室外では高血圧である状態です。仮面高血圧の患者さんの心臓病や脳卒中リスクは、通常の高血圧患者さんと同等 (血圧が正常な人の2~3倍) であることが知られています。そのため、仮面高血圧のリスクが高い人では、診察室血圧が正常であっても積極的に家庭血圧を測定することが重要です。

仮面高血圧のリスクが高い人

・高血圧治療中の全ての患者さん

・高値血圧 (130-139/80-89mmHg)

・喫煙者

・アルコール多飲者

・精神的ストレス (職場、家庭) が多い人

・肥満・メタボリックシンドロームや糖尿病を有する人

・・・など。

家庭用血圧計の種類

家庭用血圧計には、主に①上腕用カフ式②上腕アームイン式③手首用の3タイプがあります。

カフ式とは、自分で腕に加圧バンドを巻くタイプのものです。カフを適切な位置・強さで巻くことが必要であり、正確な結果を得るためにはその点に留意が必要です。

アームイン式は腕を差し込むタイプのものです。最も正確に血圧を測ることができると思いますが、持ち運びは難しく価格も高いのが欠点です。

手首用の血圧計は持ち運びが容易ですが、使用方法によって不正確になる場合が多く、現状では上腕用が推奨されます。

正確性を期待するのであれば②アームイン式>①カフ式>③手首用の順でおすすめします。

しかし肥満で上腕が太くて短い体格の方では、上腕用の使用が困難となることがあり、手首血圧計をおすすめする場合もあります。

各メーカーごとの精度は日本高血圧学会ホームページに記載されています。

わが国の製造メーカーの血圧計であれば、どれも正確であり明らかな差はないようです。

家庭血圧を測るときに気をつけること

家庭血圧を測るうえで大切なことは、測る状況や方法を同じに統一することです。

血圧は状況や行動に応じて大きく変動します。毎日決まった方法で測定することが重要です。

血圧を測るときは2回測定し、2回とも記録すること
静かで適当な室温の環境で、背もたれ付きの椅子で足を組まず1-2分会話せず安静にする
測定前に喫煙、飲酒、カフェインの摂取は行わない
朝は起きて排尿した後、薬を飲む前、朝食前に測ること
夜は寝る前に測る
カフは素肌か薄い衣服の上から肘関節にかからないように巻く
カフを巻いた腕の高さを心臓の高さに合わせる

【注意】

測り忘れや測定結果の血圧値に一喜一憂する必要はありません。

測定結果の血圧値が高い/低いからといって自己判断で血圧の薬を中止したり増減しないでください(降圧薬の急な調節は心臓に負担をかける可能性があります)。

血圧を測る腕は利き腕の反対が推奨されていますが、左右どちらで測っても問題はありません。血圧の左右差は15mmHg以内であれば正常です。15mmHg以上ある場合は血圧が低い方の腕の動脈に狭窄がある可能性があります。ただし、血圧は容易に変動することに注意が必要です。すなわち、1回、2回、3回と連続して測定すると、1回目は高く2回目以降は低くなることが多いです。本当は動脈に狭窄がないにもかかわらず、2回目の血圧である反対の腕の値が低くなる可能性はあります。さらに、動脈の狭窄はゆっくり進行するため毎回左右とも血圧を測る必要はなく、無症状であれば半年に1回程度で十分です。片方の腕がだるい、しびれるといった症状がある場合には血圧の左右差をチェックする必要があります。

 

参考文献

日本高血圧学会発行:高血圧治療ガイドライン2019.日本高血圧学会HP.

記事執筆者 本通水田内科クリニック院長 水田 隆誠
広島大学医学部医学科卒
「北海道/道東」内科専門研修修了
日本専門医機構認定 内科専門医 (2023年10月1日現在)

 

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