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高血圧

「高血圧」という病気は、中高年の方にとって最も身近な病気の一つかもしれません。

平成28年に行われた厚生労働省の調査によれば、40歳以上の人のおおよそ半数が高血圧にかかっているといわれています。

日本には約4300万人の高血圧患者がいると考えられていますが、実際に医療機関に通院している患者数は全国で約2500万人しかいません。

つまり、約1800万人もの人たちが高血圧であるにも関わらず適切な治療を受けていない計算になります。

高血圧を放置していると、心臓病や脳卒中、腎不全 (透析) といった病気を引き起こす危険性が高まります。

当院では、高血圧の診断や原因を調べるための検査を行うとともに、飲み薬による治療も行っています。

高血圧は当院が最も力を入れている病気の一つです。

健診で血圧が高いといわれた方、高血圧が心配な方、以前病院に通っていたけど忙しくて通院が途絶えてしまった方、どなたもお気軽にご相談ください。

目次

そもそも血圧とは?

血液は心臓から出て、体中の血管を通り、再び心臓に戻ります。

このとき、血液が血管の中で壁に押し付ける力を「血圧」と呼びます。

心臓が収縮したときの血圧を収縮期血圧(上の血圧)、拡張したときの血圧を拡張期血圧(下の血圧)といいます。

病院で測った血圧が140/90mmHg以上、ご自宅で測った血圧が135/85mmHg以上で高血圧と診断します。

血圧が高くなってしまう一番の原因は塩分のとりすぎです。

なぜ塩分をとりすぎると血圧が高くなってしまうのか、その理由を下に記載しました。

専門的で難しい内容のため、読み飛ばしていただいてかまいません。詳しく知りたい方だけお読みください。


●なぜ塩分をとりすぎると高血圧になってしまうのでしょうか。

その理由には、我々の祖先が海から陸上に上がってきたときから体に備わっているシステムが関わっています。

我々の祖先は、食塩摂取の困難な自然環境で生命を維持するために、貴重な塩分 (ナトリウム) を体に留め、適切な血圧を保つ機構 (レニン・アンジオテンシン系) を発達させました。

しかし飽食の現代において、食塩はむしろ過剰摂取となっています。ナトリウムは生命維持に必須の元素ですが、多すぎても体内の水分バランスを乱し神経障害などを生じます。そこで過剰な食塩摂取に対して、我々の体はレニン・アンジオテンシン系を抑制することで対応します。それでもなおナトリウム排泄が十分でないとき、体は血圧を高くして腎臓に負荷をかけて過剰なナトリウムを体外に排泄するのです。


また血圧は常に一定というわけではなく、季節や体調、状況によって変動します。診察室では通常、高めに測定されることが多いですが、人によってはご自宅での血圧の方が高いこともあります。

そのため、ご自宅でも血圧を定期的に測定することをおすすめします。

家庭血圧の測り方や家庭血圧計の選び方は下記リンクにて解説していますのでご参考にしてください。

血圧の測り方・家庭用血圧計の選び方について解説

高血圧の症状は?

高血圧とは、血液が心臓から出て、血管の中を流れているとき、血管の中の壁に負担をかけることです。

この負担が続くと、血管の壁が硬くなります。この状態を「動脈硬化」と呼びます。

動脈硬化は最初は何も感じないことが多いです。そのため、多くの人が高血圧を気にせずにそのままにしてしまいます。

しかし、高い血圧が続くと、脳や心臓、腎臓にダメージを与えることがあります。すると、頭痛や吐き気、視力の問題、あるいは意識を失うなどの症状が現れるおそれがあり、放置すると大変危険です。特に、高度な高血圧(血圧が180/120mmHg以上)では、生命にかかわることがあります。

また高血圧が軽度であってもその状態が長く続くと、気づかないうちに動脈硬化が進んでしまい、脳卒中や心臓病、腎不全 (透析) のリスクが高まります。

脳や心臓・腎臓が一度ダメージを受けると、発症前の元の状態には回復できないことが多いです。

ですから、これらの病気が出る前に、血圧を適切に治療しておくことがとても重要なのです。

 

高血圧の原因

高血圧の原因として、医学的に特定の病気が原因となっている場合を二次性高血圧とよび、専門医療機関での検査・治療が必要です。

当院では二次性高血圧が疑われる患者さんに対して適宜検査を行っています。

しかし高血圧のうち、90%以上は特定の病気が隠れているわけではなく、いわゆる生活習慣病であり、食事 (塩分のとりすぎ) 、運動不足、体質といったものが原因です。

二次性高血圧をきたす代表的な疾患
腎血管性高血圧

腎臓に血液を送る血管である腎動脈が、動脈硬化などにより狭くなり起こる病気です。腹部の聴診で血管雑音が聞かれます。腹部超音波検査で腎動脈の狭窄を確認します。

原発性アルドステロン症

副腎とよばれる臓器から分泌されるアルドステロンというホルモンが過剰に分泌される病気です。アルドステロンは血圧を上昇させるとともに、カリウムという物質を尿中に排泄します。これにより四肢の脱力がみられることがあります。血液検査で低カリウム血症を認めるのが典型的とされますが、実際には認めないことも多いため、血液検査でアルドステロン・レニンを測定してスクリーニングします。

クッシング症候群

副腎から分泌されるコルチゾールというホルモンが過剰になることで起こる病気です。高血圧の他、糖尿病や脂質異常症、肥満、満月様顔貌などがみられます。診断には内分泌学的検査が必要となるため、疑われる場合は専門医療機関に紹介します。

褐色細胞腫

アドレナリンなどのカテコラミンが過剰産生される病気です。副腎や交感神経節に発生した腫瘍が原因となります。発作性の頭痛、動悸、発汗などの症状がみられます。血液検査でカテコラミンの上昇を確認します。腹部画像検査で腫瘍が見つかることもあります。治療の基本は手術で腫瘍を摘出することです。

先端巨大症

下垂体から分泌される成長ホルモンが過剰になることで起こる病気です。高血圧の他、糖尿病や脂質異常症、手足などの末端が肥大したり額や下顎が突出した顔貌がみられるようになります。靴や指輪が入らなくなったという患者さんもおられます。血液検査で成長ホルモンを測定します。治療は手術で下垂体腺腫を摘出することです。

甲状腺機能亢進症/低下症

甲状腺はのどぼとけの下にある蝶のような形をした臓器です。甲状腺ホルモンを分泌し、体の代謝を調節する役割を担っています。この甲状腺機能が過剰になったものを亢進症、低下したものを低下症とよびます。いずれの場合も血圧は上昇しますが、亢進症では収縮期血圧が高くなり、低下症では拡張期血圧が高くなります。治療は甲状腺の機能を適正レベルに調整することであり、飲み薬が基本となります。 

高血圧の治療

下に生活習慣の改善指導を示しています。

まずは生活習慣改善のアドバイスを行い、生活習慣の改善に取り組んでも血圧が下がらないときに、飲み薬を開始します。

ただし早急に治療すべき状態の場合は、生活習慣の改善と同時にお薬による治療を開始することがあります。

 

塩分は1日6g未満
野菜、果物、魚の積極的な摂取
肥満の人は体重を減らす(BMI 25以下)
お酒を減らす(1日量でビール250~500mL以下、日本酒1/2~1合以下、焼酎1/4~1/2合弱、ウィスキー・ブランデーダブル0.5~1杯、ワイン1~2杯弱)
1日30分以上のウォーキング
禁煙

 

高血圧の飲み薬には、血管を拡げるもの、尿を増やすもの、心臓を休ませるものなどさまざまなタイプがあります。患者さんの体質や診察の結果を踏まえ、患者さん一人ひとりにとって適切な治療を提供いたします。

 

薬を飲み忘れてしまいました。どうすればいいですか?

高血圧の飲み薬は毎日決まった時間に飲むことが大切です。ですが飲み忘れはどんなに気をつけてもなくすことはできません。

飲み忘れたときの対応を下に示します。

飲み忘れたからといって、急にこわいこと (脳卒中や心不全などの合併症) が起こるわけではないので落ち着いて対応しましょう。

また、飲み忘れた場合に次の服用のタイミングで2回分をまとめて飲むことはしないでください。ふらつきなどの副作用が出てしまうおそれがあります。

1日1回のお薬

その日寝るまでの間に気がついたら飲んでください。その日に気づかなかった場合に、翌日に2回分をまとめて飲むことはしないでください。

1日2回のお薬

朝の分を飲み忘れた場合、1回目を昼から夕方の間に飲み、2回目を寝る前に飲んでください。夕の分を飲み忘れた場合、寝るまでの間に気がついたら飲んでください。

 

記事執筆者 本通水田内科クリニック院長 水田 隆誠
広島大学医学部医学科卒
「北海道/道東」内科専門研修修了
日本専門医機構認定 内科専門医 (2023年10月1日現在)

 

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